コロナウイルスの影響で通常営業できなくなった飲食店さんが、テイクアウト事業に参入されている姿を目にするようになりました。ご自身の経験と技に変化を付けて沈みがちなお客様の心を舌で満たすような取り組みにとても心強さを感じています。
さて、これから私たちの国は湿度の高い梅雨と、異常的な気温を毎年記録する夏に突入しようとしています。すぐに喫食する店内飲食とは違い、いつお召し上がりになるかわからないテイクアウト事業にとっては食中毒が発生しやすいとても危険な季節でもあります。
ぜひ、この記事を最後までお読みいただき、満足感とともに安心・安全をお届けする一助としてください。
この記事を熟読してもらいたい本当の理由
社会全体が新型コロナウイルスの影響で混乱している中、特に医療分野、衛生行政(保健所)はパンク寸前の状態に陥っています。
このような状況で、万が一食中毒事故があなたのお店で発生してしまったとすると、通常なら少しのダメージで復帰できる事案が、初期対応の遅れから重症化してしまう可能性がとても高まっています。
そうなると、お店を守るために始めたテイクアウト事業がお店を潰していしまうことになりかねません。
私たちは正しい知識をもって安心安全な食品を提供していただき、皆さんとこの未曾有の困難を一緒に乗り越えることを切に願っています。
そもそも飲食店がテイクアウトをしても良いのか!?
通常、飲食店内で喫食されるメニューをお客様の要望に応じてお持ち帰りで販売することです。
基本的に調理済みでご自宅でそのままお召し上がりいただけるものが対象となります。食材自体を販売してお客様が調理する必要がある場合は『食肉販売業』『魚介類販売業』が必要になる場合がああります。
他店舗で販売したり、たくさんの量の商品を製造・販売する場合は『お惣菜製造業』営業許可が必要になる場合がありますので、乙訓食品衛生協会までお問い合わせください。
メニューによっては新たな許可を取る必要があります!
食中毒のリスク低減させて安心・安全を!
温度管理に特に気を付けて!
お客様を疑え!?
お店側が考えていることとお客様の間で考え方は食い違っていることがとても多いです。
ランチ時に店頭でお弁当を積み上げて販売していたとしましょう。
これだけ暑い中売っているし、お弁当だからすぐ食べてくれるだろう!
お店の人冷蔵庫に入れてなかったから、外に出しておいても大丈夫よね。夜お父さんと一緒に食べようかしら。
このような認識の違いからくる事故を防ぐためにも、店頭に並べる商品はサンプル程度にして店内の涼しい場所や冷蔵庫で保管するようにしましょう。
冷却の基本
加熱した食材を冷却するときは、大きな平らなバットに広げたり、氷水を下に充てるなどして急速に冷却するようにしましょう。
食中毒菌や腐敗菌の増殖最適温度は20℃から50℃です。この温度帯を素早く通り抜けることが食中毒予防の最重要事項です。
100度以上で死なない!?
カレーなど濃度のあるものや炒飯などの米飯やスパゲッティなどの麺類を大量調理する場合は特に冷却にご注意ください。なかなか冷えにくく真空状態になった中心部を好み100度以上の過熱でも壊れない菌が存在します。
こうなると再加熱しても毒素や菌が死滅することがなくなります。
転ばぬ先の杖、食中毒保険に加入しましょう!
これまでご紹介した注意事項に留意していただければ、食中毒事故を起こしてしまうリスクはかなり下げることが可能です。
しかし、様々な要因が交錯する中その可能性を0%にすることができません。そこで食中毒保険に加入しておくことをお勧めします。
通常、食中毒保険(PL保険、生産物賠償責任保険)は大変高額であることが多いです。私たち食品衛生協会では団体保険としてサービスを提供することで格安で加入していただくことができます。協会の年会費を足しても単独で加入するよりもお安くなることがあります。実際、この保険のために協会に籍を置く会員様もいらっしゃいます。
保険料は業態・規模によって変わりますので乙訓食品衛生協会事務局までお問い合わせください。
表示義務はないけれど、大変事故の多い分野なので。。。
バックヤード調理(店内での調理)の場合は表示義務はないとされています。しかし、アレルギーや消費期限については食中毒事故に直結する大切な情報ですのでできる限り表示するよう心がけましょう。
アレルギー表示
アレルギーをお持ちの方にとっては生死にかかわるとても重要な情報です。使用している原材料はもちろんですが、入っているかもしれないという可能性表示は認められていませんが、製造過程での混入にも留意しましょう。
対象28品目に関して表示できれば良いのですが、少なくとも症例数が多かったり、症状が重篤であり生命に関わるため特に留意が必要な7品目の特定原材料については表示を心がけましょう。
卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そば
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
注意が必要な食品
マヨネーズ(卵を含む):卵を使用していないマヨネーズもあるため
パン(小麦を含む):米粉のパンなども登場しているため
卵白(卵を含む)、卵黄(卵を含む):完全に分離できないため
醤油(大豆・小麦を含む):調味料類は使用する前にその商品の原材料表記を確認する習慣を付けましょう
消費期限
何の表示もしていないとお客様は勝手な判断をしてしまいます。そしてその判断は私たちに比べて寛容です。
表記できない場合は口頭で「今日中にお召し上がりください」とか「○○時までにお召し上がりください」とお伝えしましょう。ただし、忘れられてしまったりおしゃべりに夢中で聞いていなかったりということも考えられますので、できる限り表記することお勧めします。
表示義務が免除される理由
バックヤード調理で対面販売を行う場合、お客様の疑問・質問に口頭で答えることができるからです。
ということは、正規の食品表示の内容を聞かれれば答えられるようにしておかなくてはいけません。
表示例を紹介しますので参考にしてください。
明太子高菜パスタ | |
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消費 期限 | 2年5月31日午後9時 |
名称 | 調理麺 |
原材 料名 | スパゲティ、山菜ミックス、明太子ソース、高菜、ベーコン、玉ねぎ、のり、調味料 /酸化防止剤(V.C)、発色剤(亜硝酸Na) (原材料の一部に卵、小麦、乳、さば、大豆、鶏肉、豚肉、ゼラチンを含む) (本品製造工場ではそば・卵を含む製品を生産卵を含む製品を生産しています) |